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【GPS/GNSS 関連技術解説(14 項目)】

衛星測位システム(Satellite Navigation System)

複数の人工衛星が放送する軌道情報と原子時計による時刻情報を受信し、所定の演算によって、受信者が自分の所在地の座標を求めることができるよう整備されたシステムを、衛星測位システムと呼ぶ。このシステムは人工衛星、地上管制、受信者の3者からなり、それぞれ「宇宙セグメント」「地上セグメント」「ユーザーセグメント」と呼ばれる。人工衛星の軌道情報や、搭載されている原子時計の正確さだけでなく、他にもさまざまある誤差要因の把握と補正が、最終的な測位精度に深く関わってくる。

GPS(Global Positioning System)

GPS は高度約2万km を周回する30 機前後の人工衛星と、それを支える地上システムなどから構成される、米国固有の衛星測位システム。「全地球測位システム」などと説明されることから一般名詞と思われているが、米国固有のものであり、これはメジャーリーグ野球のシーズン優勝決定戦が「ワールドシリーズ」と呼ばれるのと似たような事情。1980 年代から民間の利用が始まったが、当初は民生用で100m程度の誤差があった。しかし2001 年、軍事作戦遂行上の必要などに応じ、意図的に精度を落とすSA(Selective Availability)の解除を米政府が明言、一般民生利用にはずみがついた。

GNSS(Global Navigation Satellite System)

GNSS は、米国のGPS に加え、ロシアのGLONASS(グロナス)、中国のBeiDou( ベイドゥ=北斗)、欧州のGalileo(ガリレオ)、インドのNavIC(ナビック、IRNSS とも)など各国·各極が運用する衛星測位システムを総称するもの。厳密には、地球上の特定エリアのみをカバーするRNSS(Regional ~) という呼び方もあるが、インドのNavIC や日本のQZSS(準天頂衛星システム)をGNSS に含めても差し支えない。受信機が複数の衛星システムの信号を受信する場合を「マルチGNSS 対応」と呼ぶ。

QZSS 準天頂衛星システム「みちびき」

日本政府が整備する衛星測位システム。米国のGPS と一体運用(互換性のある信号を放送)されることと、日本上空に長く滞留する「準天頂軌道」と呼ばれる特殊な軌道をとることなどが特徴。英文略称のQZSS は(Quasi-Zenith Satellite System)の頭文字。2010 年9月にJAXA(宇宙航空研究開発機構)が初号機を打ち上げ、衛星愛称は一般公募で「みちびき」と名付けられた。試験や実証を経て、初号機は2017 年2月に内閣府に移管。その知見を踏まえ製造された追加3機の衛星も同年6 月、8月、10月に打ち上げられ、所定の軌道に投入された。防災情報などを配信する機能も備えており、2018 年度から本格的なサービスが開始される。

静止衛星/静止軌道(GEO)

人工衛星が 1) 地球の自転と同じ周期を持ち、2) 地球の赤道面と同じ軌道面を持つという2つの条件を満たすとき、衛星は地上から静止して見える。そのような軌道を静止軌道(Geo-Stational Orbit)、静止軌道に投入された衛星を静止衛星と呼ぶ。衛星と通信を行うアンテナの向きを固定できるため、通信や放送などに多く利用されるほか、気象衛星「ひまわり」も静止軌道に配置されている。日本の準天頂衛星システムでは、2017 年8月に打ち上げられた「みちびき3号機」が静止衛星となっており、航空機への補正情報提供や、災害時の通信回線を提供する機能を備えている。

仰角と方位角

仰角とは衛星と地平線のなす角度。天頂(真上)にあると90 度で、天頂に近いほど「高仰角である」という。「衛星の高さ」と表現される場合もあり、高いほど建物や地形に遮られることがないため、受信条件は良くなる。方位角は衛星の方角を示す角度で、真北が0度、東90 度、南180 度、西270 度となる。測位や解析のソフトウェアなどでは、受信状態が不安定な低仰角の衛星を、測位演算に利用しないようにする「仰角マスク」という機能を備えるものも多い。

スカイプロット(スカイビュー)

測位衛星がどのように見えているかを、同心円状の天球図に表現した図。衛星からの情報をもとに、受信側で計算して求めた個々の衛星の仰角と方位角を、地図上に配置する。円の中央が天頂(仰角90 度)で、真上が北(方位角0度)。方位角が時計回りに増加するよう、円の右側を東にするのが通例。スカイプロットを見ることで、建物や地形による遮蔽、衛星の配置バランスなどを直感的に把握することができる。

電離層遅延

電離層とは、地球大気の上層部にある原子や分子から、電子が分離(電離)した状態(プラズマ状態)にある層。電波が電離層を通過する際には、電子やイオンの影響によって速度が遅くなり、これを電離層遅延という。太陽活動により電離層は変動し、遅延の程度は時と場所により変わるため、測位の誤差を小さくするには細かな補正が不可欠となるいっぽう、複数の受信局を使ったり、2つ以上の周波数を利用するなどして誤差を低減する方法も存在する。

対流圏補正

主に大気中の水蒸気の影響により、電波伝播に遅延が生じる。これをキャンセルするための演算処理を対流圏補正と呼ぶ。対流圏とは地表から高度11km 程度までの濃い大気が存在する領域の呼び名。衛星の仰角が低いほど電波が大気中を通過する距離が長くなるなどの影響も考慮する必要がある。また、正確に見積もられた補正値は、大気中に水蒸気がどの程度存在するかを示す指標ともなることから、電子基準点などの観測データから得られた補正値が、気象庁のスーパーコンピューターによる数値予報にも生かされている。

電子基準点とGEONET

電子基準点とは、国土地理院が1993 年から整備してきた測位衛星の観測設備。強固な土台に固定された高さ5mのピラー(柱)頂上のアンテナと、測量グレードの受信機、電源·通信設備などからなる設備で、離島を含む全国に20km メッシュで約1300 点が配置されている。すべての観測データはつくば市の国土地理院本院に集約されており、これをGEONET(GNSS 連続観測システム)と呼ぶ。現在はGPS、GLONASS、QZSS、Garileo のデータが取得され一般配布も行われている。電子基準点での連続観測データを解析することで、国土保全や地図づくり、測量などのほか、地殻変動の把握、気象予報、津波高予測、高精度測位の補正値導出など幅広い用途が生まれている。

2周波測位

電離層遅延の度合いは電波の周波数により異なるため、衛星から異なる周波数の電波を発信し、同時に受信して解析することで、その影響を見積もることができる。これをもとに補正を加えるため、2周波測位は、1周波の測位に比べ高い精度が得られる。

マルチパス Multiple Path

電波は山やビルなどに反射し複数のルートを通って伝播することがある。直接届く電波と、反射した電波が同時に受信されてしまうことをマルチパス(複数の経路)と呼ぶ。反射して届いた電波は行路が長く時間遅れを生じているため、正確な測位を乱す要因となる。

アルマナックとエフェメリス

すべての人工衛星は物理法則(ケプラーの第一法則)に従い、地球の重心を焦点のひとつとする楕円軌道を周回している。この軌道は数式で表すことができ、正確な時刻を与えれば衛星の正確な位置(座標)が得られる。測位衛星は、こうした計算が可能になるよう、アルマナックとエフェメリスという2 種類の軌道情報を送信しており、アルマナックは精度数百m ~数km の大まかな、エフェメリスは精度が数mオーダーのより詳しい軌道情報。これらの情報は衛星から送信されるほか、インターネットや携帯電話回線を通じて入手もでき、測位演算の時間短縮に役立つ。なおこの格調高い名称は、かつて英国王立グリニッジ天文台が航海での天測のために発刊していた冊子“The Nautical Almanac and Astronomical Ephemeris” にちなむもの。

*RTK と搬送波位相測位

測位衛星からの電波を、基準局と移動局の2局で受信することで、両者に共通する誤差要因を排除し、2局間の相対的な位置関係を高精度に求める技術。測位信号ではなく測位信号を載せた電波そのものが持つ情報(搬送波位相)を計測することで、原理的にミリメートル単位の精度が実現する。主に測地測量で使われてきた技術。1箇所にとどまり時間をかけて計測を行うスタティック(Static)法に対し、場所を移動しながら複数地点の計測を順番に行うキネマティック法(Kinematic、演算·解析は後処理)が登場。さらに、基準局と移動局を無線通信で接続し、その場解析で測位解を求める手法が登場。その手法がRTK(Real-Time Kinematic)法。測位に利用する衛星の数が増えることで、精度向上や時間短縮が期待できるが、複数の周波数を利用することでも同じ効果が期待できる。バイオスシステムの「RTK 車間距離計」や「RTK 自動レーンチェンジ評価計」などでは、GPS とGLONASS の2衛星システムに対応するほか、L1(1575.42MHz)とL2(1227.60MHz)の2周波にも対応し、高精度測位と測位解の収束時間短縮を両立させており、準天頂衛星システム「みちびき」への対応も予定しています(2018 年以降)。

* 移動基地局式 (Moving Baseline)

RTK は固定された基準局からの相対位置を高精度に求める手法だが、基準局そのものを移動させながらでも、2局間の相対位置を高精度に求めることができる。これを移動基地局方式と呼ぶ。バイオスシステムではこの技術を自動車の車間距離計としていち早く採用し「RTK 車間距離計」として発表。(2011 年)。その後、車両間の距離計測に加え、歩車間(歩行者と車両)の距離計測などにも応用が進んでいる

【バイオスシステム製品関連技術解説】

走行抵抗試験

ブレーキ試験

BAS試験(ブレーキ)

フェード試験(ブレーキ)

WLTC(WLPT)

自動レーンチェンジ試験

新 車外騒音試験

R79 レーンキープアシスト評価

パーキングアシスト評価